目の色について調べていると、よく出てくるのが「明るい色の目の方が、眩しく感じやすい」という言葉。つまり、黒い目よりも青い目の方が光を感じ取りやすいんだとか。
目の色(虹彩の色)によって、見ている世界は具体的にどのように変わるのでしょうか?
もくじ
明るい色の虹彩(青い目)だと、見え方が違う?
日本には黒い目(正確には濃いブラウンですが)の人しかいないので、あまり身近な問題ではないのかもしれません…。
が、暗い色の目と(黒い目)明るい色の目だと、見え方は若干異なると言われています。
青い目は、黒い目よりも眩しく感じやすい
具体的には、青い目は眩しさを感じやすいのだとか。
つまり、色の薄い目は太陽の光に弱いのです。
確かに、欧米の人たちはサングラス使用率が高いですよね。
実際に彼らと一緒にヨーロッパに暮らしてみると、「ただのファッション」ではなく、日本で言えば帽子や日傘のように、一部の人にとって「なくてはならない生活用品」だということがわかります。
特に夏場は、ヨーロッパは日も長い国が多い(平気で9時過ぎまで明るい、など)ので、日中はサングラスで目を守ることが目の健康維持のためにも重要だと言われています。
目も「日焼け」する
「目も日焼けする」ということは、これまでに多くの研究で明らかにされてきました。
そのため、最近の眼鏡やコンタクトレンズにはUVカットが付いたものが多いですよね。過度な日光(UV)吸収を防ぐためです。
UVカット付きのサングラスやメガネ、コンタクトレンズによって、目の中にUVによるダメージが蓄積するのを防ぐことができます。
しかし、「日光」と「UV」は別のもの。
よく、「眩しさを防ぐためだけに、カラーフィルムの貼ってあるだけの安物サングラスを使っている人」がいますが、それだと、開いた瞳孔にカットされなかったUVが差し込み、逆に目にとっては非常に危険なのです。
光の量が多すぎても、疲れ目を起こす
UVだけでなく、目が1日に摂取できる光の量は、(個人差こそあれ)ある程度決まっています。
その量を超えてしまうと、夕方や夜になってから「眠くないのに目が開けられない」「目だけが非常に疲れている」といった感覚になります。
(日本人でも、屋外で長く活動した日にはこのように感じる人も多いのではないのでしょうか?)
この状態は、完全にUVカットをしていたとしても起こります。
眩しい場所にいると虹彩がギュッと縮んだ状態(瞳孔の開きを絞った状態)が続くので、仕方ないですね。さらに眩しい時は顔をしかめる・眉をひそめるなど、表情筋も使うので、目の周りの筋肉が疲弊してしまうというわけです。
だから、UVカットだけの眼鏡やコンタクトレンズよりも、さらに光自体も減らすことができるサングラスが、とても有効になるわけです。
虹彩の瞳孔への影響
さて、「目が日焼けする」ことを防ぐために「サングラスをかける」ことが有効だということはわかりました。
これまでの研究では、
「目が日焼けする」=「瞳孔が疲れる・ダメージが溜まる」ということはわかっているのですが、虹彩への影響はあまり考えられてきませんでした。
虹彩は瞳孔に入る光の量を調節するための部分なので、虹彩には光が当たっても問題ないと考えられてきたのです。
しかしそうだとしたら、「青い目の方が眩しく感じる」といわれているのは、どこに根拠があるのでしょうか?
青い目が黒い目よりも眩しく感じやすい根拠
ここからは、青い目が黒い目よりも眩しく感じやすい根拠を紹介します。
反射する光が多い
まず、薄い目の色は「瞳孔付近で反射する光が多い」という点です。
例えば、同じ暗さのサングラスでも、「真っ黒なフレームのもの」と、「真っ白なフレームのもの」をかけると、真っ白なフレームをかけた時はフレーム部分で光が反射して、真っ黒なフレームのサングラスよりも世界が明るく見えます。
これと同じことが、目の中でも起きるわけです。
目の色が黒い人は「黒いフレームのサングラス」をかけていて、そして、目の色が青やグレーの人は「明るい色のフレームのサングラス」をかけているようなものです。
明るい色の虹彩の方が、反射する光が多いため、瞳孔が取り込む光の量は若干増えます。
身体が明るい光に慣れていない
次に、明るい色の目を持つ人が、もともとどこに住んでいる人だったのかを考えた時にヒントがあります。
明るい色の目を持つのは、ヨーロッパでも北部のノルウェーやスウェーデンなど「北欧」の人や、ロシアなど、とにかく「寒い地方に住む人たち」ですよね。
逆に、暗い色の目(ブラウン、黒)は、アジアやアフリカなどの「暑い地域」の住民に多いです。(最も太陽が当たる「赤道直下」出身の人は、ほとんどが暗い色の目です。)
暑い地域に住む人は太陽の直射日光や暑さに強い身体の特徴をもち、また逆に寒い地方に住む人は出来るだけ太陽光を取り込む・寒さに強い身体の特徴を持っています。
寒い地方の人は、あまり太陽光が強くない(直射日光をあまり浴びない)環境で生きて生きているので、彼らの目は、直射日光の眩しさをより強く感じてしまう可能性が高いです。
青い目で見る世界・黒い目で見る世界
誰も、人生のうちで「違う目」で過ごしたことのある人はいないので、実際には比較するのが難しい(というか不可能)なのですが、
青い目の方が太陽の光をより多く吸収する(=より眩しく見える)という点を考慮すると、以下のように見えると考えられます。
景色
青い目で見た時
黒い目で見た時
家
(↑)青い目
(↓)黒い目
ビーチ①
(↑)青い目
(↓)黒い目
ビーチ②
(↑)青い目
(↓)黒い目
カップ
(↑)青い目
(↓)黒い目
ほぼ誤差の範囲内ですが、「より眩しく見えた時」の画像比較です。
また、「実際にどう見えているのか(瞳孔が捉えたイメージ)」よりも、人は認識の仕方や、周りの色味との関係性において、見ているものの色を判断します。
なので、青い目でも黒い目でも、見えている色味や景色はほとんど変わりません。
ただ、少し光を強く感じるかどうかなのでしょう。
目(虹彩)の色素の薄い人は、眩しさを感じやすい
ここまででわかるように、目の色素の薄い人は、眩しさを感じやすい(光に敏感)な傾向があります。
これは、青い目をもつ欧米系の人たちだけでなく日本人の間でもよく見られ、目の色の薄い人は眩しさにより敏感な人が多いんだそう。
「自分の目の色は薄い」という人で、あまりにも日常で「眩しさ」を感じやすい人は、UVカット付きサングラスをかけるなど自分で対処した方がいいかもしれません。(それによって目の周りの筋肉の疲れもぐんと軽減します。)
また、インテリアの世界では割と有名な話ですが、やはり北欧系のランプや電灯は光が控えめのことが多いんだそう。(ただしこれはインテリアの認識の仕方や、センスも関係しているので単純に「目」の特徴による変化だとは言えませんが。)
「自分がどんな明るさを快適と感じるのかどうか」
については、努力してどうにかなることではない(先天的な問題)ので、ぜひ自分の家の電気を決める時などは、色々試しながら「自分にとっての快適な明るさ」を見つけてみてください!
まとめ
以上、青い目で見た時と黒い目で見た時の「見え方の違い」についてでした。
ちなみに、「青い目」とはここでは「色素の薄い虹彩」という定義です。(なので、灰色やヘーゼル色でもかなり色素の薄い目の場合はここでいう「青い目」と同じことが起こっています。)
人間だけでなく、犬や猫などの動物も、目の色によって見え方や眩しさの感度は違うのかもしれません。
虹彩の色の多様性については他の記事でも紹介しているので、ぜひ興味のある人はチェックしてみてください!