オランダのメンサのパーティーに参加してきました。
そのパーティー会場からの帰り道、ベルトがIQが高い人が持つ悩みについて話してくれました。
この記事を読む前に、下の記事を読むことをおススメします!
1.高IQ集団「メンサ」の集まりに参加してみた① ピーナッツジョークを理解できるか?
2.高IQ集団「メンサ」の集まりに参加してみた② 意外と普通?な天才たち
(それぞれ別のページで開きます。)
幼いころは「おちこぼれ」だったベルト
ベルトは、自分がIQが物凄く高いのだと知ったのは、成人してからだったのだそうです。
「メンサというものの存在を知ってね、友達に勧められたからためしにと思ってやってみたんだ。そしたら、合格して入ることができた。」
さらっと言うのですが、メンサのテストは結構ムズカシイもののはず…。
何も勉強や予備知識なしで、ベルトは一発合格だったようです。
「自分が頭がいいってことはなんとなく自覚していた?」
「いや、その時初めて知った。むしろ自分は頭がかなり悪い方だと思っていたよ。なにしろ、学校の成績はいつもすごく悪かったしね。」
IQの高いベルトが小さいころの成績が悪かったなんて、とても意外でした。
「勉強が嫌いだったの?」
「嫌いだったわけではないと思うよ。ただ、いつも他のことに気を取られちゃっていたかな。
先生が何かを説明していても、窓の外で揺れている木の葉っぱの方が気になっちゃったりとかね。だから、いつもいつの間にか勉強について行けなくなっていたんだ。」
「勉強ができる=IQが高い」というわけではないんだなあ。
もちろん、往々にしてIQが高い人というのは勉強ができる人もたくさん居るのだろうけど、それが必ずしもイコールにはならない、ということを知りました。
「僕は、はっきり言っておちこぼれだったよ。それに、周りからもそんな風に言われたことも何度もあった。
はっきりとは覚えていないけど、そんな風に感じながら生きていたから、たとえば自分が話したことが相手に理解されなかったとき、いつも、これは自分の頭が悪いからだと思っていた。」
「だからこそ、メンサに合格したことは僕にとっても大きなことだった。
自分は落ちこぼれではなくて、頭がいいんだ、と知って、自分に自信を持つことが出来たんだよ。」
天才と、落ちこぼれって、実は紙一重なのかもしれない、と、ベルトの話を聞いていて思いました。
IQが高い人は孤独か
「メンサに入ってよかったと思うことはある?」と聞いた時、
ベルトは、「よかったと思う」と即答した。
「友達が出来たよ。すごく気の合う。」
そこから、ベルトはびっくりするような話をしてくれました。
「IQが高い人は……これは僕の個人的な考えだけど…孤独な人が多いんだ。」
ベルトは続けます。
「こんな話がある。人は、同じ程度のIQを持つ人同士でないと、スムーズに会話が成立しなくて、理解し合うことが難しい、って。だいたい、20前後は大丈夫らしいんだけど。
それが本当だとすると、メンサに入っているIQ150以上の人たちは、130以下の人たちと理解し合うことが難しいってことになるんだ。
まあ、それは極端な気もするけどね。」
そうだったのか!
たしかに、天才が考えることはしばしば理解されないといいます。
頭が良すぎると、「変人」扱いされることも多いですよね。
IQが130以上の人なんて、人工の5%くらいだから、残りの、95%の人とは理解し合うのが難しいってこと?
世の中の5%としかスムーズに理解し合えないとしたら、確かにとても生きにくい世の中になると思います。
「人間のIQは、平均が100なんだ。だから、100前後に人口のほとんどが収まっていることになる。
メンサに入っている人たちは、人にこんな印象を与えることが多い。
話がすぐ飛ぶ人だ、とか、
意味がよくわからないことを言う、とか。
本人たちの頭の中では、筋道立っていることでも、他の人には理解できなかったりすることがよくあるんだ。
そして、IQが極端に高い人にとって、それは優越感を感じるようなものではなくて、ただ人間関係を築く際の障害になってしまう。」
頭が極端にいいことが、必ずしも幸せにつながるわけではないという事実を知って、私は衝撃を受けていました。
ベルトは淡々と話すけど、過去を思い出しているようなその表情に、今までの人生を通してたくさん大変なことがあったのかもしれない、と感じました。
「でもぼくは、どんな人とでも理解し合えると信じているし、理解しようと努力したいと思っているよ。
それに、わからない人にはわかりやすく伝えられるように努力すればいい。自分のペースを人に押し付けていては、理解し合えるものもできなくなるからね。」
そうなんだ。だから私もベルトの話が理解できるのか。(笑)
パーティーであった人たちも、ベルトと同じ悩みを持っているのかもしれません。
そんなことを考えていてふと、疑問に思ったことがありました。
「でも、さっきメンサのパーティーに参加した時には、話についていくのは大変に感じなかったし、楽しかったよ。」
「うん、そうだね。…それは君も天才だからかもよ。」
ベルトは冗談を言いながらも、少し考えて続けます。
「もちろん、IQが高い人が、普通の人と友達になれないってわけじゃないんだ。基本的に、とてもフレンドリーな人が多いよ。
それに、問題が起きたりするのは、たとえば、仲良くなった友達に相談をされたり、だれかとビジネスの話をしたり、パートナーとしてつき合ったときとか…そういう時に理解し合えなかったとき、大変な思いをすることが多いんじゃないかな。」
「なるほど~。」
「でも、だからこそ、とてもよく考えて丁寧に人間関係を築いていく人が多いように感じるよ。」
IQ150を超えるということ ~まとめ~
ベルトの話を聞くまで私は、
「自分もIQがそんなに高かったらいいのになあ、世の中の問題とかすぐに解決できちゃうし、大成功できるんだろうな」なんて思っていました。
でも、当たり前だけど「IQが人間のすべて」では決してなくて、
ベルトが言うように、もっと大切な他の要素がその人の人生を決めていくのだと知りました。
メンサに入れるボーダーライン、「たったの2%しかいないIQ148 以上の天才」というのだって、
ただただ「スゴイことを表している数値」だと思っていたけど、ベルトの話をきいて、つまり彼らは世の中のマイノリティー(少数派)でもあるんだ、ということが分かりました。
この世界は、マジョリティー(多数派)を中心に作られていて、「普通」の人たちにとってはとても暮らしやすい世界だと思います。
でも、マイノリティーの人たちにとっては、今でも「普通に」暮らすことが難しいと感じる場面も多いのではないか、とふと思いました。
IQが高すぎるメンサに入れる人たちにとって、それは人間関係において顕著で、結果的に孤独を抱える人が多いということもわかりました。
メンサの存在を知ったときは、正直、「そんな、天才しか入れないようなグループを作るなんて、凡人と天才の境目を見せつけられているみたいだなあ」と思ってしまいました。
でもベルトと話してからは、ベルトの様な人にとって、メンサの集まりでは「ありのままの自分」を出して、理解し合うことのできる、安心できる居場所なんだろうな、と考え方を改めました。
「メンサの人たちと話していると、どんな話もしやすくて、居心地がいいんだ。ちょっとひねったジョークも思いっきり言えるしね。」
ベルトはにっこりと笑いました。
ベルトはいつもニコニコしていてとても前向きで、どんなささいな相談にも真剣に考えて、新しい方向からの助言をくれました。
頭がいいだけじゃなくて、人間性も磨いてきたベルトと過ごすのはとても楽しかったし、とても多くを学ぶホームステイになりました。