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「ウユニ塩湖に行くな!」世界一周経験者が忠告する本当の理由(体験談)

ここ数年人気爆発中の、ボリビアの絶景「ウユニ塩湖」。

しかし最近、世界一周景観者を中心に「ウユニに行くな!」という人が増えています。彼らは、なぜそんなことを言うのでしょうか?

実際にウユニに行った経験から、考えてまとめてみました。

旅行会社からは決して聞けない裏話になります。

でも、今後ウユニに行きたいと思っている人は全員知っておくべき大切なことばかりです。

昨今の絶景ブームで大人気の、ボリビアのウユニ塩湖

10年ほど前から世界一周旅行者の間で人気がじわじわと出てきて、最近では日本から単発旅行でも訪れる人も増えている、ボリビアのウユニ塩湖。

  • 「一生に一度は行きたい絶景」
  • 「世界で最も美しい景色〇選」

などの記事でも引っ張りだこで、そこで見られる絶景写真ははため息の漏れるようなものばかりです。

自分もいつか、ウユニ塩湖に行ってみたい…!!

と夢焦がれる人も多いと思います。

わたしも、ウユニ塩湖に行ってきた

わたしも、数年前に長期で中南米を旅行した際、多分に漏れずウユニ塩湖に行ってきました。

中南米を旅する日本人にとっては、ウユニ塩湖といえばひとつのハイライト。世界一周旅行者にとっても、やはり「ここだけは見たい!!!」と夢焦がれるスポットです。

それは、5年前から今も変わっていませんし、毎年たくさんの日本人がウユニ塩湖を訪れています。

そんなウユニ塩湖ですが…

最近、「ウユニ塩湖には行くな!」という、一見極端な意見が見られるようになってきました。

「ウユニ塩湖に行くな!」の真意

「ウユニ塩湖に行くな」と言う人たちは、なぜそんなことを言うのでしょうか?

ウユニ塩湖に行きたいと考えている人の中には、「日本でいまはお金をためていて、ウユニ塩湖にいつか行く日を夢見ている」という人たちもいると思います。そんな人にとってはあまりにも無慈悲に思えるその意見。

でも実は、この意見は世界一周旅行者や長期旅行者の間ではよく聞かれる意見なんです。

そこには、ちゃんとした理由があります。

その理由をわかったうえで行くことを選ぶのも、行かないことを選ぶのも自由だと思います。

ここからは、「ウユニ塩湖に行くな!の真意」を説明していきます。

①高山病になるリスクがあまりにも高い

ウユニ塩湖は(あまり知られていないのですが)、標高3,600mのところにあります。富士山の高さが3,776mなので、ウユニ塩湖は富士山の頂上くらい高い所にあるんです。

世界一標高の高い大規模塩湖でもあり、空気(酸素濃度)は薄く、かなり寒暖差が激しいです。そしてここでは、高標高に慣れていない多くの人が「高山病」という病気にかかります。

高山病とは

高山病とは、別名「山岳病」とも呼ばれ、標高の高いところに行った際に気圧の低さと空気(酸素)の薄さに体が順応できずに発症する病気です。

症状としては、ひどい頭痛や、高熱、吐き気、めまい、関節や節々の痛みなどが起こります。しかも解決方法がなく、かかってしまったら最後、数日間はひたすら安静にするか、それでも改善しない場合は標高の低い所に避難するしかありません。

放置した場合、最悪死亡する可能性もあります。

…そんな恐ろしい高山病ですが、もし短期旅行者がウユニ塩湖に行く場合、80%の人が高山病の症状をうったえるといいます。3600mという高さは、人間が数日間の間に適応できる標高ではないからです。

世界一周旅行者はじめ長期で旅行する人達は、それを踏まえて少しずつ少しずつ、数週間~長い人は1か月ほどかけて高度順応(だんだん滞在地の標高を上げていく)していきます。

わたしがウユニに行った際にも、絶対に飛行機を使わず、このように1か月以上かけてゆっくり移動しました。こんなかんじで(↓)

  1. ペルーの首都リマ(標高0m)
  2. ペルーの村々(標高1500~2500m)
  3. ペルーのクスコ(標高3,400m)
  4. マチュピチュ(標高2400m)
  5. ペルーの村々(標高3500~4000m)
  6. ボリビアの首都ラパス(標高3600m)
  7. ウユニ(標高3600m)

多少は降りたり上がったりしていますが、こうやって「標高に順応できる体」を作っていきました。そしてやっとウユニに辿りつき、無事、高山病になることなく楽しむことができました。

が。

同じような行程で、同じくらいの期間をかけて順応してきたはずの友達は、あっけなく高山病にかかり1週間ほどずっとウユニの街で寝込んでいました。

ウユニ塩湖を見ることもなく…。

それくらい「準備していってもかかってしまう時はかかる」、運の要素も強い病気なのです。

以上を踏まえていうと、やはり「短期旅行者がウユニを訪れるのが無謀だ」と主張する人の気持ちもわかります。

日本から、飛行機で一気にボリビアの首都ラパス(標高3600m)やウユニの空港(同じく標高3600m)まで飛ぶのは、ほぼ自殺行為。あまりにも体に負担がかかるためです。

もしそんな移動をしたら、絶対に数日間は安静にして「様子見」の期間を設けるべきなのですが(そうじゃないと半日くらいで高山病の症状が出始めます)、短期旅行者にそんな余分な時間はないので、到着してすぐにでもウユニ塩湖ツアーに参加しようとしてしまいます。

ウユニで高山病になる確立

ウユニでは、わたしが見ていたところ短期旅行者の8割、長期旅行者でも3割くらいの人に、高山病の症状が出ます。

わたしの滞在していた宿でも、具合が悪くなって部屋から出てこられない人が何人もいましたし、一緒にグループを組んだ8人のうち5人が体調を崩して来られなくなり、結局3人でツアーに参加、なんて時もありました。

それくらい、ウユニ塩湖では高山病が身近なんです。

だからこそ、短期旅行者はプランニングの段階で「余裕をもったプラン組み」「高山病リスクを視野に入れた動き」を考えていくことが重要になります。

短期旅行者でも高山病にかからなかった2割の人たちは、ちゃんとできるかぎりの高山病対策をしてきた人がほとんどでした。

②短期旅行者は絶景を見られる確立が低い、という意見

まずよく聞かれるのが、「ウユニには、1週間~10日間の短期旅行者が行くべきではない」という意見。

これは、単純に「そんな旅の初心者が行くべきじゃねー!」みたいな、意地悪な意味で言っているわけではありません。

高山病のリスクはもう話しましたが、実は写真集に載っているような美しいウユニ塩湖を見るのためには、かなりの忍耐力時間的な余裕が必要です。

なぜなら、あの絶景はいつでもそこにあるわけではなく、いくつかの条件が重なって初めて見られるものだからです。

みなさんが想像するウユニは、まさにこの本の表紙のような絶景だと思うのですが、これは本当に1年で最高レベルの日。こんな完璧な状態で見られるのは一年のうちでも10日くらいしかありません!でもこの景色がいつでも見られると思って訪れる人が多過ぎる💦

条件はこんなかんじ。

  1. 「雨季」で、塩湖の表面全体に薄く水が張っている状態
    まず雨季じゃないと、鏡張りのウユニは見られません。雨季の始まりと終わりの時期は年によって異なるので、「確実に大丈夫!」な時期はわかりません。雨季が始まったばかりでは水はたまっていないし、終わりかけだと乾き始めています。
  2. 快晴でも曇りでもなく、適度に雲がある状態
    雲一つないような快晴でも、どんより灰色な曇りでも、あまりいい景色は見られません。さらに雨季の中でも最初の頃でないと、もりもりとした入道雲っぽい雲の鏡ばりは見られません。
  3. 完全に無風の日
    風がまったくない日で水面がピタッと止まっていないと鏡張りは起こりません。標高3000mを超えて、しかもこんなに広々とした土地で「まったく風がない」という状態はなかなか珍しいです。

この条件が合うのはなかなか難しくて、なんと「1か月ウユニで粘った」という強者に出会ったのですが、彼曰く「そんな条件のいい日は、ベストシーズンでも5日に1回くらい。1週間粘って見られなかった人もいたよ」と話していてびっくりしました。

(↑)風が出てきてしまった時のウユニ塩湖。こんなかんじで水面には何も映りません。

写真集に載っているウユニ塩湖の写真は、どれも「何日もベストな日を待ち続けて撮った写真」か、「たまたま運が良くて見れた」もので、あれが当たり前に見られるわけでは決してありません。

短期旅行者の人で、「ウユニ塩湖に滞在できるのが3日くらい」という場合は、絶景が見られずに帰る可能性もあるということもリスクとして頭に入れておきましょう。

③ウユニ塩湖はもはや手垢の付いた絶景だ、という意見

これもよく聞かれるのですが、「結局、今まで写真でさんざん見てきたウユニ塩湖ってそこまでして見に行く価値あるの??」という意見。

わたしは実際に行ってみて、今もウユニ塩湖に行ってよかったと思いますし、とても感動しました。しかし、中には「こんなに大変な思いまでして来るようなところではない」と思う人もいるようです。

最近、ウユニ塩湖の知名度が高まり、長期で南米を旅行している人や、世界一周旅行者のおよそ90%以上はウユニ塩湖を見に行きます。むしろ、南米にいるのにウユニ塩湖を見に行かないと言うと「なんで?」と不思議がられるほど。それほど、ウユニ塩湖は「誰もが行くべき絶景」になっています。

かつては「誰も見たことのない絶景」だったウユニが、「誰でも見られる絶景」になり、そして長期で旅している人だけでなく卒業旅行などで南米にふらっとやってきた人でも見ることができるほど「身近な景色」になっている。

…その状況が、ウユニ塩湖を「手あかのついた絶景」と表現する人も出てくるようになりました。

④ウユニの街に「アンチ日本人」が多い、という意見

これは、最近聞いてわたしも仰天したのですが…

あまりにもたくさんの日本人が小さなウユニの村(ウユニ塩湖に行く際の拠点、宿泊地になるところ)に押し寄せた結果、日本人旅行者のマナーの悪さに愛想を尽かせた「アンチ日本人」の現地人が増えてきているのだそうです。

中には、ウユニの街に「日本人禁止・おことわり」の看板を掲げる宿やホテルまで出てくる始末。

しかしこれは、冷静に考えるとやっぱり日本人旅行者の方が悪いことが多いのです。自分たちではまともに振る舞っているつもりでも、ウユニ塩湖を目的にやってきた日本人たちは現地の人にとって「ありえないこと」を平気でします。

たとえば、

  • ウユニ塩湖で朝日を見るツアーに行くために、真夜中の2時や3時に大音量で目覚ましのアラームをかける
  • 2時、3時に起きてから、何か問題が起きて(鍵がかけられない、熱いシャワーが出ないなど)管理人を起こしにきたり、ツアーの準備でガタゴトと大きな音を立てたりして宿泊客やオーナーの安眠を阻害する
  • 勝手に貴重な水を大量に使って洗濯をして、部屋の中や屋上で干している(ウユニの宿では基本的に洗濯禁止なのにも関わらず)
  • 市場で、現地の人でも値切らないようなものをしつこく値切ろうとする(高地に運んでくるまでの手数料を考えずに。)

などなど。これ、たぶん本人はあまり何も考えずにやっているんだと思います。

しかし、真夜中に他の部屋からアラームが聞こえたら誰でも嫌ですし、ウユニの宿は防音設備とかほぼないので夜中の騒音はとても迷惑になります。何か部屋で問題が起きたとしても、常識的に考えて「朝になってから言ってくれ」ってかんじですよね。

洗濯も、ウユニは「塩湖」で、一度訪れると塩まみれのべたべたになるので、服を洗濯したい気持ちもわかりますが…ルール違反してまでやることはないと思います。

しかもこれが、雨季の日本人がやってくる間ずーーーっと繰り返されるのだから、日本人が嫌になるのも仕方ないと思います。

あと、一番ひどいと思ったのは、

「ツアー参加者が夜中の2時に騒がしく出発した後、スヌーズにしてあったアラームが一晩中大音量で鳴り続けた」という事件。鍵がかけてあるから誰もアラームを止められないですし…さすがにオーナーが可哀想です。

実際、言われているほど日本人が嫌われているのかはよくわかりません。が、もしかしたら日本人が嫌いな現地人もいてもおかしくないですよね。

ウユニ塩湖には、世界の旗がいっぱい立っている一角があります。

一時期、そこから日本の旗だけなくなっていたんだそうです。それが本当の話なのか、ただの噂なのかは(わたしが見たわけではないので)定かではないのですが、もし本当だとしたらとても悲しいことです。→その後、最近行った人から「日本の旗もちゃんとあった」と聞いています。

それでも、行きたい人は行けばいい。

たとえ「行くな!」と言われようと、行きたい人は行けばいいとわたしは思います。

ウユニには、ウユニでしか見られない景色が確かに存在します。「その景色が見たい」というシンプルな理由で、地球の裏側に行くのも、ロマンがあっていいと思います!

ただし、実際に「じゃあ、行こう!」となったときに、今まで書いたような「リスク」や「問題点」もしっかり意識したほうがいいと思うんです。

たとえば最低限、以下のことはしっかり勉強して、覚悟して行ってください!

  • 高山病についての正しい知識を事前に頭に入れておくこと
  • 体調は自己責任。現地では自分の体を守るために最大限の努力を怠らないこと
  • 体に負担のかかりにくい安全な日程プランを組むこと
  • ウユニの町では常識的にふるまい、宿の人に迷惑をかけないこと
  • 「結局、運まかせ」と思える潔さを持つこと

わたしは、ウユニ塩湖を10回ほど訪れましたが、毎回「完璧」なウユニが見られたわけでは決してありませんでしたし、がっかりした回も何度もありました。

それでも、新月の日の真夜中にウユニで見た景色は忘れられません。満点の星が足元の水に移り込んで360度続いていく様子は、まさに自分ひとりが宇宙に浮かんでいるようでした。その時の感覚は、たとえようもなく素晴らしく、「ここまで来て、本当によかった」と心の底から思いました。

「本で見た絶景を見るため」「写真を撮るため」など、人ぞれぞれ目的はいろいろあると思います。が、その目的に縛られず、何か一つでも感動体験が得られればいいと思います!

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