個性と能力

一度見たら絶対忘れない、瞬間記憶能力「カメラアイ」とは?

カメラアイ

こんにちは。

今日は、誰もが憧れる夢のような能力「カメラアイ」「瞬間記憶」について探っていこうと思います!

ちなみに、「フォトコピー」と呼ばれる能力もカメラアイと同じものです。様々な名前がありますが、とても珍しく特別な能力であることは変わりません。

「カメラアイ」による瞬間記憶とは

カメラアイを簡単に説明すると、「まるでカメラのように、目で見たものをそっくりそのまま脳にしまうことのできる能力」のこと。

目がカメラの役割で、脳がカメラの中に入っているメモリー。そして、その記憶は決して衰えたりせず、いつまでも鮮明に思い出すことができます。

なので、たとえば「一度見ただけの景色を緻密にスケッチする」、「教科書を丸暗記」のような、普通の人には真似できないようなこともできます。

いわゆる、「瞬間記憶能力」といったところでしょうか。

カメラアイの記憶方法

彼らは、見たものをカメラのように細部にいたるまで記憶します。

しかし、わたしたち常人のように一生懸命細部まで目を通して覚えようと頑張るのではなく、ちらっと見る程度でも十分。

思い出す必要のあるときは、「自分の頭の中にある写真をもう一時度見直す」ようなイメージです。

なので、全ての詳細をひとつひとつ覚えるわけではなく、「頭の中で画像を見直す」ことができるのです。

たとえば、この能力を持つ子供は、教科書を全部覚えてしまうので、穴あき問題や知識を詰め込むタイプの問題は大得意です。(頭の中の教科書を見直せばいいだけなので。)

また、宿題に自分で丸付けをする際に一度答えのページを見ただけで全て覚えてしまうので、答えのページを見直す必要がありません。

すらすらと丸付けをすることができます。

この能力を持つ人たちは、サヴァン症候群と呼ばれる

医学用語では、このような能力を持つ人たちのことを「サヴァン症候群(savant仏語:賢人) 」と呼びます。

一部の「特別な人」しか持つことのできない能力のように思われますが、実はこれは、原始的能力の一つともいわれており、たまに存在する「絶対音感」などもその範疇なんだそうです。

そして、サヴァン症候群は、自閉症の人に表れることが多い能力なのだとか。

彼らは、ものを見た瞬間、そのものの形、配置、色などを一瞬で記憶します。(もちろん、個人差はあると思いますが)。

興味のある物事では特にその能力が発揮されて、時刻表や歴史年表の丸暗記なども、一瞬でできるのだそう!

これを一冊覚えきれるなんて…こんな特殊能力ほしいですね…!!

 

カメラアイで出来ることと、そのメリット

それでは、実際に生活の中ではどんな「出来ること」やそれによる「メリット」があるのでしょうか?

調べてみたところ、こんな例が出てきました。

  • 宅配便の問い合わせ番号を一度見ると24時間くらい覚えている
  • 道を聞かれて頭の中に街の映像が鮮明によみがえって自分でも記憶した自覚の無い店の名前まで出てきた
  • 勉強の「答え合わせ」の時に一度答えのページを見ればスイスイ答え合わせができる
  • 教科書を丸覚えできる

優れた芸術家にもカメラアイの持ち主は多い

素晴らしい芸術家やアーティストの中にも、このような能力を持つ人たちは多いのだとか。

例えば、有名な放浪画家の山下清氏は、優れた「カメラアイ」の持ち主だったんだそうです。

彼は、自分の旅行先での風景を「目で見るだけで」細部まで記憶して、帰宅してからそれらの記憶をもとに、絵を描いていました。

きっと、一度見たものを細部まで忘れないので、細部までリアルな絵を描くことができるのでしょうね。

これを聞いて思い出したのが、イギリスの天才自閉症の画家、スティーブン・ウィルシャー(Stephen Wiltshire)氏。

Stephen Wiltshire
彼は、ニューヨークの上空をたったの「20分間」遊覧しただけで、ニューヨークの街並みをすべて、まるでカメラで写したかのように完璧にモノクロの絵で再現して見せたんだそうです。

「流石に、細部は適当に書いているだけじゃないか」と思いきや、ニューヨーク在住でニューヨークで働いている人が、「自分の自宅のビルと、仕事場のビルを両方ともみつけることができた」んだそうです。

彼は本当に「完璧に記憶」していたんですね…!!

どうしたら「カメラアイ」を身に付けられる?

さて、普通の人はどうしたらカメラアイを身に付けることができるのでしょうか?

実は、カメラアイは完全に「先天性」の能力です。なので、ので、後から(後天的に)「カメラアイを手に入れる」ことはできないようです。

残念…。

ただし、同じ人間なので「同じ能力」とまではいかなくても、訓練することで後天的に記憶力を圧倒的なレベルまで引き上げることは可能です。

人の脳の全ての機能のうち、約半分以上が2歳までに完成され、そのあとの10年ほどかけて、残りの半分が11歳までに完成するのだそう。(これが「幼少期の教育が重要」と言われている根拠ですね。)

なので、この時期に訓練するのが一番いいのですが、あまりにも過剰に脳に負担をかけると、脳の能力に偏りが出るかもしれません。

成人してから特殊能力を身につけるのはなかなか難しいのですが、バランスよく能力を身につけるのであれば、遅くありません。

最近流行りの「速読」なんかは、極めていくとかなり瞬間記憶に近いですね。

「瞬間的に得た資格情報から理解し、思考する」という点では、カメラアイととても似ていると思います。

カメラアイには「デメリット」もある

しかし、メリットばかりじゃありません。

実は、カメラアイには不便なことも…

一度覚えると消えない

脳

一度覚えたものは、本人がどう頑張っても頭から削除する=「忘れる」ことができません。

  • 昔起こった悲しいこと
  • 衝撃的な光景

などが、なんどもなんどもフラッシュバックして押し寄せてくる人もいるんだとか。

また、日常生活の中では、

  • 間違えて覚えてしまったことを「上書き」できない

という不便も。

間違えて覚えたものも、そのまま記憶されていってしまう・もしくはずっと頭に残り続けるんですね。

彼らは「記憶力が良い」と言うこともできますが、言い換えると「記憶を忘れる能力がない」ということでもあります。

普通の人は、自分に起こった様々なことについて、いいことも悪いことも、適度に忘れつつ、自分にとって大切なもの、都合のいいものだけ記憶に残ります。

時間とともに忘れることは、精神的な健康の面でもとっても大切なことなんです。

しかし、「カメラアイ」を持つ人は、人生を重ねていくに連れて、いい思い出も悪い思い出も重なり、鮮明に思い出すことができてしまいます。

  • 自分がいじめられていた時の、いじめっ子の顔と表情、声と言葉
  • 親からの心無い言葉
  • 人に笑われたこと

など。

辛いことや嫌な光景、思い出を、いつまでも鮮明に覚えていなければならないのは、とてもつらいことです。

「忘れる」という私たち普通の人の持つ能力も、特別なモノなんですね。

周囲から過剰な期待を向けられる

記憶力がいいだけで、中学校までは「天才」として評価されることがあります。

基本的に日本では中学までの勉強は8割型記憶さえできればOKなものなので、周囲からの期待がどんどん上がっていってしまう。

カメラアイを持つ人は、IQが高いわけではありません。

大抵の場合、カメラアイという特殊能力を得た代わりにIQや人の心の動きを読み取る能力に障害が出てきてしまうこともあります。

親や学校の教師に優秀だと思われ、期待され、「天才児」として扱われても、実際に出来るのは「記憶」だけで、応用はほとんどできない。

周りをがっかりさせたくなくて、必死に頑張ってしまう。何にできなくて、自己嫌悪や焦燥感、申し訳ない気持ちや怒りで精神を病んでしまう…など、聞いていて胸の痛くなるような話もあります。

「記憶力」だけでは、すべてはうまくいかない。

だからこそ日本の「記憶力が最も重要」となる初等教育方法の中では「天才」期待をかけられても、あとあとまで期待に応えることができない…

彼らは、普通の人は想像できないような「重荷」を背負ってしまうのかもしれませんね。

「人」を知るために彼らは重要な役割をもつ

人の目

ここからは、「メリット・デメリット」の話だけはなくて、彼らを「私たち人」という仲間の一部として考えていきましょう。

カメラアイを持つ人の中には障がいを持つ人も多い

脳は、バランスをとります。

カメラアイを持つ人たちは、その能力を得る代わりに、どこかの機能に障害が出ることもあります。

例えば、聞す・話すなどの言語能力が遅れている、人の心の動きに鈍感で、うまくコミュニーケションが取れない、好みが偏っている、など。

そして、そんな様々な障がいをカバーするためにも、視覚機能が異常に発達するんではないかと言われているんです。(「目の見えない人」が絶対音感を持っていたり、素晴らしいピアニストになったりするも、こういうことですね。)

「特殊能力」は、あらゆる「偏り」から生じるようなものなのかもしれません。

※もちろん、健常者にカメラアイが現れることもあります。健常者に表れた場合は、他の能力が平均より劣る場合もあれば、なにも問題なくただカメラアイを持っている人もいるのだそう。

「能力」と「障がい」は紙一重

彼らの持つこのような特殊能力は、自閉症の人々の能力にも気付くきっかけになります。

少し前までは「自閉症」というのは「脳に障害」があって、生まれつき他の人に比べて知的に問題があると間違って解釈していました。

でも、それは誤解であり、最近やっと「脳の使い方が他の人と違う」という事を理解してきました。だから、普通より不得意なところがあれば、ずば抜けて得意なところもあったりするんですよね。

「脳の使い方が他の人と違う」からこそ、多数派の普通のひとから見ると「おかしい」と思われてしまうことが多いのでしょうが、それもまた「個性」。

できないことは助けが必要だけど、とてもできることがある。そっちでみんなの役に立てるんだよ」という、『ギブ・アンド・テイク』の関係が成り立つはずです。

それに、企業も彼らのことを理解し、”戦略的”にこうした人材を活用すれば、今までには不可能だったことが可能になるかもしれない。

これからの社会では、「個々の能力がうまく生かされる環境」することが大切になってくるのではないでしょうか。

そして、彼らを理解することは、きっと「人」という普遍的な概念を理解することにも繋がっていくのです。

最後に:サヴァン症候群の人が出てくる有名映画

1. レインマン

1988年に大ヒットした名作映画『Rain Man(レインマン)』では、主人公の兄弟であり、自閉症のレイモンドがこの能力を持っていました。


(↑)左がダスティン・ホフマンの演じた「レイモンド」。

彼は、カラオケバーの机の上に乗っている「曲表」の番号と曲名を全て覚えてしまう、電話帳の番号と名前をすべて暗記する、など、常人には不可能な「記憶」をやってのけ、レイモンドの「記憶能力」を利用して、二人はラスベガスで「ブラックジャック」で大儲けしていました。

ブラックジャックは、本当に「並外れた記憶力」さえあれば勝つことは可能ですからね…!

この映画の大ヒットから、「サヴァン症候群」のことがより広く人々に知られるようになったのだそうです。

また、原作を書いた作家Barry Morrow(バリー・モロー)氏は、実際にテキサスでサヴァン症候群の患者キム・ピークに出会い、レイモンドのインスピレーションを受けたのだとか。

レインマンのレイモンドのモデルになったキム・ピーク氏
(上)キム・ピーク氏

キム・ピーク氏は、写真や直感像による記憶能力を持っていて、なんと9000冊以上の書籍の内容を完璧に覚えていたんだそうです。さらに、過去の日付に関する記憶や計算もずば抜けていて、「誰かが生年月日を言えば、その日が何曜日だったかすぐに答えられた」んだそう。

2. ハングオーバー

その後、アメリカの有名コメディー『Hang Over(ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い)では、『レインマン』のパロディーで、主人公の義理の弟「アレン(若干自閉症ちっくなところもある)」が、ブラックジャックで大儲けしていました。

3. CUBE(キューブ)

1997年にカナダで製作されたヒット映画『CUBE(キューブ)』では、因数分解を暗算で瞬時にできる青年が登場しました。

彼のおかげで登場人物たちは命を救われます。